カウンセリングとは。
2021-01-14
「カウンセリング」という言葉は、「相手の話をていねいに聴く」という姿勢そのものを指すように理解されているのではないでしょうか。確かにその通りです。しかしその意味はアバウトなように思います。
直接的な解決策を提示したり、助言をすることは、「ガイダンス=案内」や「コンサルテーション=相談」であって、「カウンセリング」ではありません。
カウンセラーはもちろん相手の話をていねいに聴きますけれども、それは、カウンセリングの目的を果たそうとすれば必然的にそうなるということであって、そうすること自体が目的なわけではありません。
「カウンセリング」の目的とは個人を基本に心の成長・成熟を援助し、受けた人が根本的な問題解決ができる力を引き出すことです。それは個性とテーマ・課題にそって、その方にあった方法を計画・実施していくものです。
「今、困っている問題をなんとかしたい」、「この頃、やる気が持てなく、仕事がはかどらず困っている。何かよい方法はないか」こういうときに、やる気が出る方法や気晴らしの方法を話したり、早寝早起き。などという解決策の提示や助言を行っても、「カウンセリング」とは言いません。「直接的な解決策」ばかりをいくら考えたところで答えは見つからないでしょう。カウンセリングでは、まず、その問題の「成り立ち」を考えます。その問題がなぜ起こってしまったのかと考えるのです。
その方の家族や育ってきた環境、考え方や行動のクセ、人との関わり方、仕事のすすめ方、などなど、いろいろな出発点から道すじをたどっていくと、だんだん抱える問題の「成り立ち」が見えてきます。すると、人も前で見せる、「明るく前向き」な姿ではなく、表には見えない(時には本人も気づかない)重い塊が体のどこかにくっついているかもしれません。そんなものをずっと背負っていては、疲れるでしょうし、くっつく場所によっては痛み(身体化症状)が出ます。仕事にやる気が出なくて当たり前です。問題の「成り立ち」を考えるところからカウンセリングが始まります。
では塊をどうするのか、という「根本的な問題解決法」を考えます。ただ、その塊が簡単にとれるような状態であれば簡単ですが、身体に食い込んでいるようであれば、それを無理に取ろうとすると逆にケガをした状態となり悪化することがあります。その場合は、塊が身体にあることを念頭に置き、それを軽くする方法を考えていかなくてはなりません。カウンセラーは、本人ではありませんから、軽くする方法をいくつか思いつくことはできても、それをやってみることはできませんし、やってみて「痛い」とか「重い」と感じることができるのはあなたです。
カウンセリングとは、問題を抱えた方とカウンセラーが、その問題の「成り立ち」をていねいにたどり、それを改善するあるいはそれと上手に付き合っていくための「根本的な問題解決法」を一緒に探していくこと。になります。
塊は精神的・身体的に見えているものだけではないので、私は表に見える不調(サイン)を感じた時に気軽に地域の方々に寄り添えるカウンセラーでありたいと思います。